三千円の使いかた
原田ひ香
中公文庫
あらすじ大枠
三千円の使い方で人生が決まる。
就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金30万)。
結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金600万)。
習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金100万弱)。
そして1000万円を貯めた祖母・琴子。
御厨家の4人の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?
生活で直面するリアルな体験からお金の使い方、向きあい方が学びになります。
あらゆる年代のお金の悩みに寄り添ってくれます
この本は、年齢に応じて直面する『お金』への不安やその解決策を、登場人物から読み解くことができます。
ビジネス書チックな、お金のお堅い本が苦手な方は、ぜひこの小説を読んでみてください。
自分の年齢や置かれている状況によって、以下の登場人物のパートを読むだけでも得るものがあります。
・『美帆』パート→これからお金の勉強を始めたい。20代〜30代におすすめ。
・『真帆』パート→子育て中の主婦のお金との向き合い方。30代〜40代におすすめ。
・『智子』パート→子育ても一段落。今後の生き方を考えるときに。40代〜60代におすすめ。
・『琴子』パート→老後の暮らし方。60代〜におすすめ。
資産形成世代には、美帆・真帆のところだけ読んでも有益
特に美帆と真帆の2人について、自分の境遇と重なるところが多く、共感しました。
『美帆』パート
社会人になって間もない美帆は、あることをきっかけにお金を貯める決意をします。
お金を貯めるために、生活費の見直しを始めます。
・家賃
・食費
・出勤前に使っていたお金
・スマホ代
そしてセミナーに参加してみたり、投資・貯金・副業にもチャレンジします。
・投資信託
・1日100円貯金
・ブログ運営
美帆が行ったこれらの取り組みは、お金関連の書籍に必ずと言っていいほど書かれている方法です。
しかしビジネス書との違いは、美帆の感情=実際に始めるときに感じる不安や疑問がはっきりリアルに書かれていること。そしてどのように不安を解消し、行動したのかが描かれています。
『真帆』パート
真帆は結婚を機に証券会社を辞めます。
結婚して6年目。
消防士の旦那さんと、娘の3人マンション暮らし。
直近の目標は、子どもの教育費用を含めて1千万円。
ポイ活やお小遣い稼ぎをしながら、日々家計をやりくりしています。
・児童手当の使い方
・光熱費のやりくり
・食費の節約
ちょっと先を歩く美帆と真帆から得られる学びが多い
お金の勉強を始めてみると、投資とか節約とかやってみたいことが出てくるはず。
そのやってみたいことを、二人が一歩先にはじめてくれている感じ。
直面する壁や、困るポイント、それをどうやって乗り越えたのかが描かれています。
具体的に、どういう行動をして結果がどうなったかがわかるのがいいです。
いつかはしなくちゃ、お金の勉強。そんな方は小説で一歩踏み出そう!
お金の勉強をしたけど、小難しくてあきらめちゃった。
周りにやってる人がいなくて、具体的にどうやったらいいかわからない。
そんな人にはぜひ読んでもらいたいと感じました。
そして気になったところや、より詳しく知りたいところは、他の書籍やネットで深堀していけばいいと思います。
お金の勉強の取っ掛かりとして。
フィクションですが、美帆や真帆の行動した軌跡を読むことができます。
はじめないと何も変わりません。
この本のタイトル「三千円の使い方」について考えてみましょう。
3,000円の使い方で人生が決まる。
美帆のやったこと
・家賃の見直し
・一軒家に住むことを目標に節約を決意
・食費見直し
・家計簿をつける
・固定費見直し
・スマホ代見直し
・投資信託をはじめる
・ちいさな出費の見直し(通勤前のカフェ、ペットボトル飲料)
・1日100円貯金
・節約セミナーへの参加(8万×12ヶ月。1年で100万貯める方法)
・副業ブログ
・お金がない!いつのまにか気づいたら、そんな人にマネーフォワードME
・【即金性あり】今すぐ8万円貯まる「格安SIM」に乗り換えよう
真帆のやったこと
・結婚、育児のため仕事を辞める
・子どもが幼稚園にいったら働こう→なかなかいい場所ない
・食費の節約
・ポイ活=ホームベーカリー買う
・フリマアプリで不用品の売買
・株主優待銘柄への投資
・インデックス投資
・イデコ
・資産における現金比率のはなし
・国内株、外国株比率、リスクの取り方
お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない。
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・要約【インデックス投資の教科書】お金は寝かせて増やしなさい/水瀬ケンイチ